2010年11月29日
ふくらはぎ サポーター ZAMST CS-1
朝夕を中心に、かなり気温が低くなってきました。
これからの季節、これまでに増してケガの発生に注意したいですね。
今回は、過去に重度 ・ 中度 ・ 軽度 と3回の肉離れを体験してきた私も使用している
ふくらはぎのサポーターをご紹介します。
肉離れを発症した時のそれぞれの歩行状態は、次のようになるかと思います。
重度・・・歩行が全くできない。
中度・・・なんとか歩行できるが、びっこを引きながらゆっくり。
軽度・・・痛みを感じながらも歩行はできる。又は、軽くびっこを引きながら歩ける。
また、個人差はありますが、スポーツを始められる状態に回復するまでの目安は、
およそこのくらいではないかと思います。
重度・・・30日間
中度・・・20日間
軽度・・・10日間
ただし、これは、発症後どれだけ早い時間で RICE を施せるかや、その後の処置に
よって前後すると思います。
RICE につきましては、ご存知の方も多いと思いますので、ここでは触れません。
さて、回復しても、すぐにテニスをはじめとする運動を再開するのは、少し怖いものです。
また、動かし方によって、ほんの少しの痛みだとか、違和感みたいなものを感じて、
不安になったりもします。
あるいは、大事な試合が近いなどの理由で、不安はあるが見切り発車で再開させな
ければならない様なこともあるでしょう。
そんな時に、文字通りサポートしてくれるのが、ふくらはぎ用のサポーター。
いくつかのメーカーから発売されており、何社かの製品を試着して、私にとって最も
装着感や引き締めの自由度、圧迫度合いなど、快適で安心できたのが、
ザムスト の CS-1 でした。
ひざを曲げた時に、うしろ部分が、曲げ部に当たって痛い他社製品もありましたから、
購入前には取扱店で必ず試着をお薦めします。
ふくらはぎの大きさをはじめ、足の形には個人差がありますから、ご自分に合う
サポーターを見つけるのが重要です。
ちなみに、ご紹介の製品は、M と L サイズが用意されています。
装着は簡単、装着すると下の様な状態になります。
2方向から巻きつけて、マジックテープで止めますが、締め具合を自分で調節できます。
履くタイプではないので、装着時にシューズをぬいだりする必要がありません。
ゆるく止めない限りは、動いている間にずり落ちることはありません。
フレンチパイル、スチレン系エラストマー、ジャージ素材の3層構造からなっており、
伸縮性と適度な圧迫力と快適な装着感が特長。
使用後は、もみ洗い後に、洗濯ネットに入れて4,5分脱水して干せば OK です。
私は、この CS-1 を
「 今日は、ふくらはぎが不安な気がする 」
「 練習続きで、ふくらはぎの筋肉に疲労がたまっている感じがする 」
「 試合で、無理な動きが続く 」
といった場面を中心に愛用しています。
肉離れは、クセにならないよう、十分に注意を払い、軽度でも発症したら、すぐに運動を
中止して適切な処置を施すのが、回復までの期間を早めるポイントです。
● アキレス腱サポーター YONEX MPS-30AC については、こちら。
● ひざサポーター ZAMST ZK-7 については、
「 きまぐれテニス小説 」 第3話 の中で取り上げています。
これからの季節、これまでに増してケガの発生に注意したいですね。
今回は、過去に重度 ・ 中度 ・ 軽度 と3回の肉離れを体験してきた私も使用している
ふくらはぎのサポーターをご紹介します。
肉離れを発症した時のそれぞれの歩行状態は、次のようになるかと思います。
重度・・・歩行が全くできない。
中度・・・なんとか歩行できるが、びっこを引きながらゆっくり。
軽度・・・痛みを感じながらも歩行はできる。又は、軽くびっこを引きながら歩ける。
また、個人差はありますが、スポーツを始められる状態に回復するまでの目安は、
およそこのくらいではないかと思います。
重度・・・30日間
中度・・・20日間
軽度・・・10日間
ただし、これは、発症後どれだけ早い時間で RICE を施せるかや、その後の処置に
よって前後すると思います。
RICE につきましては、ご存知の方も多いと思いますので、ここでは触れません。
さて、回復しても、すぐにテニスをはじめとする運動を再開するのは、少し怖いものです。
また、動かし方によって、ほんの少しの痛みだとか、違和感みたいなものを感じて、
不安になったりもします。
あるいは、大事な試合が近いなどの理由で、不安はあるが見切り発車で再開させな
ければならない様なこともあるでしょう。
そんな時に、文字通りサポートしてくれるのが、ふくらはぎ用のサポーター。
いくつかのメーカーから発売されており、何社かの製品を試着して、私にとって最も
装着感や引き締めの自由度、圧迫度合いなど、快適で安心できたのが、
ザムスト の CS-1 でした。
ひざを曲げた時に、うしろ部分が、曲げ部に当たって痛い他社製品もありましたから、
購入前には取扱店で必ず試着をお薦めします。
ふくらはぎの大きさをはじめ、足の形には個人差がありますから、ご自分に合う
サポーターを見つけるのが重要です。
ちなみに、ご紹介の製品は、M と L サイズが用意されています。
装着は簡単、装着すると下の様な状態になります。
2方向から巻きつけて、マジックテープで止めますが、締め具合を自分で調節できます。
履くタイプではないので、装着時にシューズをぬいだりする必要がありません。
ゆるく止めない限りは、動いている間にずり落ちることはありません。
フレンチパイル、スチレン系エラストマー、ジャージ素材の3層構造からなっており、
伸縮性と適度な圧迫力と快適な装着感が特長。
使用後は、もみ洗い後に、洗濯ネットに入れて4,5分脱水して干せば OK です。
私は、この CS-1 を
「 今日は、ふくらはぎが不安な気がする 」
「 練習続きで、ふくらはぎの筋肉に疲労がたまっている感じがする 」
「 試合で、無理な動きが続く 」
といった場面を中心に愛用しています。
肉離れは、クセにならないよう、十分に注意を払い、軽度でも発症したら、すぐに運動を
中止して適切な処置を施すのが、回復までの期間を早めるポイントです。
● アキレス腱サポーター YONEX MPS-30AC については、こちら。
● ひざサポーター ZAMST ZK-7 については、
「 きまぐれテニス小説 」 第3話 の中で取り上げています。
2010年11月26日
メンタルに変化で連続優勝
2週連続で、シングルスの草大会に 「 優勝 」 したご褒美に、
こちらを衝動買い! しましたー。
サーモス モーション
真空断熱ケータイタンブラー/JND-400
ライムグリーン 容量/0.4L
この秋に出た、新色。
日本茶好きには、たまらない、日本人の心をくすぐる、若葉のような色合い。
このタンブラーに入れるのは、コーヒーではなく、もちろん日本茶でありたいですねぇ。
11月は、2つのシングルス草大会に出場し、その両方とも 「 優勝 」 することが出来ました。
ヘビースピナー、ネットプレーヤー、そしてシコラーと、いろいろなタイプの方と当たりましたが、
ヘビースピナーの対戦相手には、それに勝るスピンで対抗し、
ネットプレーヤーの対戦相手には、ハードヒットとパッシングで、
シコラーの対戦相手には、キレずにこちらも根気良く丁寧にひたすら打ち返し続けました。
全試合を通して、ムキにならず、あきらめず、イライラせず、
計算しながら、よく考えながら、冷静に、静かに闘志を燃やし続けて試合を進めることが
出来ました。
技術の向上だけでは勝てないのが、テニス。
メンタルが、試合の結果を大きく左右します。
そのメンタルを強く持ち続けられた11月の大会。
これまで、助言をもらっても、本を読んでも、どうにもクリア出来ず、
弱点として自覚していた弱~いメンタル。
そのために、勝てるハズの試合を何度落としてきたことか・・・。
なのに、今大会では、シコラーさんにさえ イライラすることなく、
冷静沈着に、やるべきことをやり続け、圧倒的なスコアで完勝。
一体、自分の中に何が起こったのか?
弱いメンタルから、強いメンタルへと変われたその要因は、
どうも2つの競技の観戦にあったようなのです。
ひとつは、『 ジャパンオープン 2010 』 の ナダル vs トロイツキ 戦。
この試合で、“ 崩れないメンタル ” を感じ取りました。
もうひとつは、『 世界バレー 2010 』 の日本チームの銅メダルに至る一連の戦い。
彼女たちから、“ ひたむきな勝利への執念 ” を感じ取りました。
ナダルや、バレーボール女子日本代表選手の戦いぶりを単に 「 見た 」 というよりも、
彼らの心境に自分の気持ちを重ね合わせて 「 心に焼き付けた 」 ことで、
テニスにおける自分のメンタル、集中力に、変化が起こったようなのです。
そして、今度こそは、一過性のものではない感覚を得ているのですが、はたして・・・。
気温が随分低くなってきましたので、準備運動など入念に、今後の大会に向かいたいと
思います。
皆さんも、故障のないよう十分ご注意ください。
こちらを衝動買い! しましたー。
サーモス モーション
真空断熱ケータイタンブラー/JND-400
ライムグリーン 容量/0.4L
この秋に出た、新色。
日本茶好きには、たまらない、日本人の心をくすぐる、若葉のような色合い。
このタンブラーに入れるのは、コーヒーではなく、もちろん日本茶でありたいですねぇ。
11月は、2つのシングルス草大会に出場し、その両方とも 「 優勝 」 することが出来ました。
ヘビースピナー、ネットプレーヤー、そしてシコラーと、いろいろなタイプの方と当たりましたが、
ヘビースピナーの対戦相手には、それに勝るスピンで対抗し、
ネットプレーヤーの対戦相手には、ハードヒットとパッシングで、
シコラーの対戦相手には、キレずにこちらも根気良く丁寧にひたすら打ち返し続けました。
全試合を通して、ムキにならず、あきらめず、イライラせず、
計算しながら、よく考えながら、冷静に、静かに闘志を燃やし続けて試合を進めることが
出来ました。
技術の向上だけでは勝てないのが、テニス。
メンタルが、試合の結果を大きく左右します。
そのメンタルを強く持ち続けられた11月の大会。
これまで、助言をもらっても、本を読んでも、どうにもクリア出来ず、
弱点として自覚していた弱~いメンタル。
そのために、勝てるハズの試合を何度落としてきたことか・・・。
なのに、今大会では、シコラーさんにさえ イライラすることなく、
冷静沈着に、やるべきことをやり続け、圧倒的なスコアで完勝。
一体、自分の中に何が起こったのか?
弱いメンタルから、強いメンタルへと変われたその要因は、
どうも2つの競技の観戦にあったようなのです。
ひとつは、『 ジャパンオープン 2010 』 の ナダル vs トロイツキ 戦。
この試合で、“ 崩れないメンタル ” を感じ取りました。
もうひとつは、『 世界バレー 2010 』 の日本チームの銅メダルに至る一連の戦い。
彼女たちから、“ ひたむきな勝利への執念 ” を感じ取りました。
ナダルや、バレーボール女子日本代表選手の戦いぶりを単に 「 見た 」 というよりも、
彼らの心境に自分の気持ちを重ね合わせて 「 心に焼き付けた 」 ことで、
テニスにおける自分のメンタル、集中力に、変化が起こったようなのです。
そして、今度こそは、一過性のものではない感覚を得ているのですが、はたして・・・。
気温が随分低くなってきましたので、準備運動など入念に、今後の大会に向かいたいと
思います。
皆さんも、故障のないよう十分ご注意ください。
2010年11月24日
ストリング感想 ⑩ ゴーセン エッグパワー17 の評価
ストリング 感想 ⑩
ストリング ( ガット ) の 評価 ・ インプレッション の 10 回目です。
GOSEN EGGPOWER 17
ゴーセン エッグパワー
【 商品表記 】 ( 要約 ) 断面を独自の楕円形にしたことにより、一般的ポリエステルガットに
比べ、ボールとの接触面積を拡げ、さらに、フィラメントに独自の特殊
加工を施し、摩擦係数を高めたことで、よりボールに回転がかかる
究極のスピン性が実現。
ポリガットの耐久性はそのままに、反発性、スピン性が格段に高まった。
攻撃型ショット「エッグボール」を実現するために生まれたガット。
【 素 材 】 共重合ポリエステル
【 形 状 】 楕円
【 構 造 】 モノフィラメント、特殊加工
【 ゲージ 】 1.22 ~ 1.24
【オリジナル判定 最高は★5つ】
試行条件 : ストリングパターン 16×19。テンション 51。面サイズ 100。
飛距離・・・・・・・・・★★★★
打球スピード・・・・★★★
スピン性・・・・・・・・★★★★☆ ( 4.5 )
コントロール性・・・★★★★
ソフト感・・・・・・・・・★★★☆ ( 3.5 )
ホールド感・・・・・・★★★☆ ( 3.5 )
↑ プロハリケーンツアーとは、ちょっと違うイエロー
◆これまたスゴイ黄色です…
まずは、ご覧の様な、ベッタリと色がのった濃いイエロー。
黄色のストリングといえぱ、プロハリケーンツアーを思い出すわけですが、並べて比較して
みると、実は、似て非なる黄色。
プロハリケーンツアーのほうが、薄いレモンイエローに見えてしまうくらい、エッグパワー17
のイエローもまた強烈。
↑ 左が、プロハリケーンツアー。右が、エッグパワー17
しかし、この強烈さが良いほうに転んで、案外、いろいろなデザインのラケットにも、似合っ
ちゃうように思います。黄色を使ってないラケットにも。
コーディネートの次元ではなく、もう、ストリングはストリング、ラケットはラケット、と割り切ら
せてくれるというか。
なまじ黄色でも別系統の黄色、例えば、ヘッドのユーテック エクストリームとか、
ダンロップのエアロジェル4D 500 とか、スリクソンのV3.0 の様に、蛍光イエロー系の
占める面積が大きいラケットに張ると、逆に黄色の違いが浮き立ちそうで・・・。
◆タイミングで差が出る反発性能
打ってみると、最近のポリエステルストリングと同様に、嫌な硬さや響きは感じません。
しかし、反発力は、二面性を見せます。
ボールをとらえるタイミングが合っているかいないかで、飛びに大きな差が出るのを感じます。
どんぴしゃの場合は、高い反発力を見せますが、少しズレた時は、ボテボテになりがちです。
速い打球にも、目の前で手出しされた様な遅い球、つまりは相手の打球の勢いを使えない様な、
空からポトンと落ちてきたような球にも、それぞれにしっかりタイミングを合わせられる技量が
必要です。
タイミングが合っていれば、相手の球がスローでも高い反発力を見せます。
しかしこれは、裏を返せば、当てるだけのスイングでは、オーバーし易いことも意味します。
試合で小心になり、ラケットを振り切れていない時は、自滅の危険性をともないます。
◆エッグボールは手に入るか?
答えは、YES。今まで以上の強烈な打球を繰り出せます。
但し、条件が 4つあります。
① スイングスピードが速いこと、
② ボールをぶっ潰すような厚い当たりで打てること、
③ 最後まで振り切れること、
④ どう打てば、どの高さの弾道で、どこに落とせるかを考え、その通りに打てること。
4つの内どれか一つが出来れば、ではありません。4つの条件を全て満たして初めて
エッグボールを繰り出せます。
ですから、単にボールをコントロールできるから打てるものでも、面をこすり上げてのトップ
スピンが得意だから打てるものでもありません。
速いスイングでパワーでボールを面に食い込ませながらボールを押しつぶし、
アッパースイングにしてもレベルスイングにしても、最後まで振り切れてこそ、
このストリングの持つ、憧れのエッグボールを生み出すという性能が発揮されます。
発揮された時は、他のストリングではなかなか出せない弾道の剛球を繰り出せます。
ベースラインに向けたストロークはもちろん、相手がネットに詰めて来た時に、一瞬オーバー
するような弾道で飛びながら、相手コートのサイドライン内のアングルに突き刺さるパッシング、
あるいは、ボレーヤーが待ってましたと構えるフォアに飛びながら、ネットを越えるや、ストン、
ではなく、ズドン!と落ちてミスさせる。
そんな、漫画の世界でみる様な強烈な回転をともなった剛球、相手を驚愕させる打球を放つ
ことができます。
◆「 厚い当たり 」 が鍵
したがって、張れば誰でもエッグボール、のイメージは誤りです。
ベコッとボールをぶっ潰す打ち方を好んででき、また、それを続ける体力も必要で、
けして楽をさせてくれるストリングではありません。
RPMブラスト同様、使い手を選ぶストリングといえます。
性能を引き出せる技量があれば武器になり、そうでなければ、おそらく、使い
慣れたストリングを超えられないものとなるでしょう。
また、スピンサーブは、正しいスイングで振り切れることが条件ですが、余計な推力が
出過ぎずに、サービスライン内に収まってくれ易いほうだと感じます。
スライスも、面にしっかりボールを乗せ、接触時間を長めに取る感覚を持ちつつ、スイングが
スローにならなければ、良いスライスが生まれますが、そうでないと、飛距離が出過ぎる傾向
にあり、回転のかかりが甘い、バウンド後に効果的な変化がみられないスライスになり易いと
感じます。
尚、ボレーもミートのタイミングをしっかり合わせた厚い当たりのほうが好ましいボールが行く
と思います。
全般的に、いずれのショットにおいても、面でボールを一定時間しっかり捉えることで、
性能をフルに発揮してくれるストリングだと思います。
ストリング ( ガット ) の 評価 ・ インプレッション の 10 回目です。
GOSEN EGGPOWER 17
ゴーセン エッグパワー
【 商品表記 】 ( 要約 ) 断面を独自の楕円形にしたことにより、一般的ポリエステルガットに
比べ、ボールとの接触面積を拡げ、さらに、フィラメントに独自の特殊
加工を施し、摩擦係数を高めたことで、よりボールに回転がかかる
究極のスピン性が実現。
ポリガットの耐久性はそのままに、反発性、スピン性が格段に高まった。
攻撃型ショット「エッグボール」を実現するために生まれたガット。
【 素 材 】 共重合ポリエステル
【 形 状 】 楕円
【 構 造 】 モノフィラメント、特殊加工
【 ゲージ 】 1.22 ~ 1.24
【オリジナル判定 最高は★5つ】
試行条件 : ストリングパターン 16×19。テンション 51。面サイズ 100。
飛距離・・・・・・・・・★★★★
打球スピード・・・・★★★
スピン性・・・・・・・・★★★★☆ ( 4.5 )
コントロール性・・・★★★★
ソフト感・・・・・・・・・★★★☆ ( 3.5 )
ホールド感・・・・・・★★★☆ ( 3.5 )
↑ プロハリケーンツアーとは、ちょっと違うイエロー
◆これまたスゴイ黄色です…
まずは、ご覧の様な、ベッタリと色がのった濃いイエロー。
黄色のストリングといえぱ、プロハリケーンツアーを思い出すわけですが、並べて比較して
みると、実は、似て非なる黄色。
プロハリケーンツアーのほうが、薄いレモンイエローに見えてしまうくらい、エッグパワー17
のイエローもまた強烈。
↑ 左が、プロハリケーンツアー。右が、エッグパワー17
しかし、この強烈さが良いほうに転んで、案外、いろいろなデザインのラケットにも、似合っ
ちゃうように思います。黄色を使ってないラケットにも。
コーディネートの次元ではなく、もう、ストリングはストリング、ラケットはラケット、と割り切ら
せてくれるというか。
なまじ黄色でも別系統の黄色、例えば、ヘッドのユーテック エクストリームとか、
ダンロップのエアロジェル4D 500 とか、スリクソンのV3.0 の様に、蛍光イエロー系の
占める面積が大きいラケットに張ると、逆に黄色の違いが浮き立ちそうで・・・。
◆タイミングで差が出る反発性能
打ってみると、最近のポリエステルストリングと同様に、嫌な硬さや響きは感じません。
しかし、反発力は、二面性を見せます。
ボールをとらえるタイミングが合っているかいないかで、飛びに大きな差が出るのを感じます。
どんぴしゃの場合は、高い反発力を見せますが、少しズレた時は、ボテボテになりがちです。
速い打球にも、目の前で手出しされた様な遅い球、つまりは相手の打球の勢いを使えない様な、
空からポトンと落ちてきたような球にも、それぞれにしっかりタイミングを合わせられる技量が
必要です。
タイミングが合っていれば、相手の球がスローでも高い反発力を見せます。
しかしこれは、裏を返せば、当てるだけのスイングでは、オーバーし易いことも意味します。
試合で小心になり、ラケットを振り切れていない時は、自滅の危険性をともないます。
◆エッグボールは手に入るか?
答えは、YES。今まで以上の強烈な打球を繰り出せます。
但し、条件が 4つあります。
① スイングスピードが速いこと、
② ボールをぶっ潰すような厚い当たりで打てること、
③ 最後まで振り切れること、
④ どう打てば、どの高さの弾道で、どこに落とせるかを考え、その通りに打てること。
4つの内どれか一つが出来れば、ではありません。4つの条件を全て満たして初めて
エッグボールを繰り出せます。
ですから、単にボールをコントロールできるから打てるものでも、面をこすり上げてのトップ
スピンが得意だから打てるものでもありません。
速いスイングでパワーでボールを面に食い込ませながらボールを押しつぶし、
アッパースイングにしてもレベルスイングにしても、最後まで振り切れてこそ、
このストリングの持つ、憧れのエッグボールを生み出すという性能が発揮されます。
発揮された時は、他のストリングではなかなか出せない弾道の剛球を繰り出せます。
ベースラインに向けたストロークはもちろん、相手がネットに詰めて来た時に、一瞬オーバー
するような弾道で飛びながら、相手コートのサイドライン内のアングルに突き刺さるパッシング、
あるいは、ボレーヤーが待ってましたと構えるフォアに飛びながら、ネットを越えるや、ストン、
ではなく、ズドン!と落ちてミスさせる。
そんな、漫画の世界でみる様な強烈な回転をともなった剛球、相手を驚愕させる打球を放つ
ことができます。
◆「 厚い当たり 」 が鍵
したがって、張れば誰でもエッグボール、のイメージは誤りです。
ベコッとボールをぶっ潰す打ち方を好んででき、また、それを続ける体力も必要で、
けして楽をさせてくれるストリングではありません。
RPMブラスト同様、使い手を選ぶストリングといえます。
性能を引き出せる技量があれば武器になり、そうでなければ、おそらく、使い
慣れたストリングを超えられないものとなるでしょう。
また、スピンサーブは、正しいスイングで振り切れることが条件ですが、余計な推力が
出過ぎずに、サービスライン内に収まってくれ易いほうだと感じます。
スライスも、面にしっかりボールを乗せ、接触時間を長めに取る感覚を持ちつつ、スイングが
スローにならなければ、良いスライスが生まれますが、そうでないと、飛距離が出過ぎる傾向
にあり、回転のかかりが甘い、バウンド後に効果的な変化がみられないスライスになり易いと
感じます。
尚、ボレーもミートのタイミングをしっかり合わせた厚い当たりのほうが好ましいボールが行く
と思います。
全般的に、いずれのショットにおいても、面でボールを一定時間しっかり捉えることで、
性能をフルに発揮してくれるストリングだと思います。
2010年11月17日
きまぐれテニス小説 『 30-40』 ④
きまぐれ テニス小説 『30-40』
第 4 話 エッグパワー17 の色合い
「 張りあがったわよー 」
“ ふらりんこ ” のカフェスペースで、千冬と 『 世界バレー 』 を見て
いると、ストリンガーの夕美絵さんが、たった今、奥のストリンキング
スペースで張り上げたばかりのラケットを持って来てくれた。
きちんと張り上がったストリングは、ラケットを丸ごとリフレッシュした
かのように美しく見せてくれる。
「 うわぁ、これがゴーセンのエッグパワー17 ですかー。今すぐに打
ちたい感じです。どうもありがとうございます 」
受け取りながらお礼を言うと、夕美絵さんは、ちょっと心配そうに聞い
てきた。
「 色は、どう? いつものプロハリケーンツアーとは、ちょっと違う
イエローなんだけど 」
「 ほんとですね、プロハリケーンツアーが蛍光塗料っぽい黄色、もしくは
レモンイエロー だとすると、エッグパワー17 は、山吹色にも近い様な、
いわゆる黄色、しっかり色ののった濃い目の黄色って感じですね。でも、
問題ないですよ」
( 画像 右上から エッグパワー、プロハリケーンツアー )
「 そう? それなら良かった 」
すると、すぐ横で会話を聞いていた千冬が、興味津々に身を乗り出して来た。
「 なに、なに、なに、もしかして エッグパワーって、ゴーセンから出た、誰でもエッグボールが打
てて、誰でも ナダルになれゃうっていうやつ? 」
「 千冬、お前、話が飛躍し過ぎだから。スピン性能と反発性を高めたことでエッグボールを実現
するってキャッチであって、誰でもエッグボールが打てるなんて言ってないし、ましてナダルに
なれちゃうなんて、パッケージのどこにも書いてないから! 」
「 あ、そーお? そーだっけ? まぁ、ともかくどんな打ち応えか、楽しみだろ。でも、見たところ、
オレには、何の変哲もない、ただの黄色いポリエステルストリングに見えるけどなぁ 」
千冬の疑問に、夕美絵さんが答えた。
「 そうね。確かに断面が特殊な楕円になってはいるんだけど、張った外見は目立たないかもね。
でも、よーく目を凝らして見ると、まっすぐな直線じゃなく、押しつぶされた様ないびつさが、部分
部分で見て取れるでしょう。わかりづらいかなー 」
「 どれどれ? 」
ラケット面を一枚隔てて、僕と千冬は、まじまじとストリングを覗き込んだ。
よく確かめようとするほどに、二人の顔は互いにラケットに近づいていき……
「 バカ、近いよ! 」
二人で同時に叫んで、ラケットから顔を離した。結局、いびつさは、よくわからず終いだった。
僕らの様子を笑顔で見ていた夕美絵さんが言った。
「 それじゃぁ、良かったらそのエッグパワーの感想、お願いね、出来上がったらファイリングさせて
もらうから 」
「 わかりました。早速、明日から使ってみて、どんなストリングか自分なりにつかめたところで書い
てみます 」
そう言って、明日を楽しみにしながらラケットをしまい、夕美絵さんと千冬と一緒に 『 世界バレー 』
に目を移した。
カフェのアルバイトを終えたばかりの奈保ちゃんも、夕美絵さんの分の珈琲を運んで来て加わり、
他にお客さんがいなかったこともあって、時に声を出し、手を叩きながら試合終了まで観戦した。
結局、日本代表チームが勝利をあげたのを見届けて、僕らはそれぞれの帰路に着いた。
帰り道、外の空気は、昼間と比べてひんやりしていたけれど、日本チームの熱いプレーの余韻が
残っているせいか、むしろ心地良く感じた。
日本選手たちは、いきいきとプレーしていたし、コートの中の木村沙織選手は、特に輝いて見えた。
自分は、試合であんな風にいきいきとテニスをできているだろうか。
ふと、そんなことを思って夜空を見上げると、冷えた空気の中、星が幾つも煌いていた。
( きまぐれで ) つづく
● 「 第1話 会社帰りに寄ります 」 は、こちらからお読みいただけます。
● 「 第2話 2010 世界バレー 」 は、こちらからお読みいただけます。
● 「 第3話 栗原恵と膝サポーター 」 は、こちらからお読みいただけます。
第 4 話 エッグパワー17 の色合い
「 張りあがったわよー 」
“ ふらりんこ ” のカフェスペースで、千冬と 『 世界バレー 』 を見て
いると、ストリンガーの夕美絵さんが、たった今、奥のストリンキング
スペースで張り上げたばかりのラケットを持って来てくれた。
きちんと張り上がったストリングは、ラケットを丸ごとリフレッシュした
かのように美しく見せてくれる。
「 うわぁ、これがゴーセンのエッグパワー17 ですかー。今すぐに打
ちたい感じです。どうもありがとうございます 」
受け取りながらお礼を言うと、夕美絵さんは、ちょっと心配そうに聞い
てきた。
「 色は、どう? いつものプロハリケーンツアーとは、ちょっと違う
イエローなんだけど 」
「 ほんとですね、プロハリケーンツアーが蛍光塗料っぽい黄色、もしくは
レモンイエロー だとすると、エッグパワー17 は、山吹色にも近い様な、
いわゆる黄色、しっかり色ののった濃い目の黄色って感じですね。でも、
問題ないですよ」
( 画像 右上から エッグパワー、プロハリケーンツアー )
「 そう? それなら良かった 」
すると、すぐ横で会話を聞いていた千冬が、興味津々に身を乗り出して来た。
「 なに、なに、なに、もしかして エッグパワーって、ゴーセンから出た、誰でもエッグボールが打
てて、誰でも ナダルになれゃうっていうやつ? 」
「 千冬、お前、話が飛躍し過ぎだから。スピン性能と反発性を高めたことでエッグボールを実現
するってキャッチであって、誰でもエッグボールが打てるなんて言ってないし、ましてナダルに
なれちゃうなんて、パッケージのどこにも書いてないから! 」
「 あ、そーお? そーだっけ? まぁ、ともかくどんな打ち応えか、楽しみだろ。でも、見たところ、
オレには、何の変哲もない、ただの黄色いポリエステルストリングに見えるけどなぁ 」
千冬の疑問に、夕美絵さんが答えた。
「 そうね。確かに断面が特殊な楕円になってはいるんだけど、張った外見は目立たないかもね。
でも、よーく目を凝らして見ると、まっすぐな直線じゃなく、押しつぶされた様ないびつさが、部分
部分で見て取れるでしょう。わかりづらいかなー 」
「 どれどれ? 」
ラケット面を一枚隔てて、僕と千冬は、まじまじとストリングを覗き込んだ。
よく確かめようとするほどに、二人の顔は互いにラケットに近づいていき……
「 バカ、近いよ! 」
二人で同時に叫んで、ラケットから顔を離した。結局、いびつさは、よくわからず終いだった。
僕らの様子を笑顔で見ていた夕美絵さんが言った。
「 それじゃぁ、良かったらそのエッグパワーの感想、お願いね、出来上がったらファイリングさせて
もらうから 」
「 わかりました。早速、明日から使ってみて、どんなストリングか自分なりにつかめたところで書い
てみます 」
そう言って、明日を楽しみにしながらラケットをしまい、夕美絵さんと千冬と一緒に 『 世界バレー 』
に目を移した。
カフェのアルバイトを終えたばかりの奈保ちゃんも、夕美絵さんの分の珈琲を運んで来て加わり、
他にお客さんがいなかったこともあって、時に声を出し、手を叩きながら試合終了まで観戦した。
結局、日本代表チームが勝利をあげたのを見届けて、僕らはそれぞれの帰路に着いた。
帰り道、外の空気は、昼間と比べてひんやりしていたけれど、日本チームの熱いプレーの余韻が
残っているせいか、むしろ心地良く感じた。
日本選手たちは、いきいきとプレーしていたし、コートの中の木村沙織選手は、特に輝いて見えた。
自分は、試合であんな風にいきいきとテニスをできているだろうか。
ふと、そんなことを思って夜空を見上げると、冷えた空気の中、星が幾つも煌いていた。
( きまぐれで ) つづく
● 「 第1話 会社帰りに寄ります 」 は、こちらからお読みいただけます。
● 「 第2話 2010 世界バレー 」 は、こちらからお読みいただけます。
● 「 第3話 栗原恵と膝サポーター 」 は、こちらからお読みいただけます。
2010年11月11日
きまぐれテニス小説 『30-40』 ③
きまぐれ テニス小説 『30-40』
第 3 話 栗原恵と膝サポーター
“ ふらりんこ ” のカフェスペースに設置してある三菱の3D液晶テレビ LCD-55MDR1
で見る 『 2010 世界バレー 』 は ド迫力で、夕美絵さんが名前を挙げた木村沙織選手の
スラッとした背の高さ、江畑選手の面白いように決まるアタック、佐野選手の地面とボール
との間に手の平一枚を滑り込ませて打ち上げたミラクルなレシーブ、チーム皆の連帯感、
鮮やかなコンビネーションプレーなど、女子バレーに魅了されるのに、長い時間はかから
なかった。
なんだろう、彼女たちの、このひたむきさ。
しごかれても、しごかれても、監督やコーチを信じて声を出し、練習に
没頭する中高生の運動部の生徒達を思い起こさせるような、一点を
目指す まなざし。
率直にいいなぁ、と感じていると、右から声をかけられた。
「 よっ、何してんの 」
テレビ画面から視線を移すと、珈琲を持ちながら近づいてきた千冬だった。
千冬って、女性にも見かける名前だけど、コイツは男。
誰もが知る大手企業に勤めていることや、182cmの身長が、ちょっと羨ましかったりも
する大学からの友人だ。
別に待ち合わせをしていたわけじゃないんだけど、こんな風に不意に現れることが多いんだ、
千冬は。
「 どったの、女子バレーなんか見ちゃって。さては、さおりんの隠れファンだったとか? 」
「 いや、そういうわけじゃ…… 」
「 いいよ、いいよ、隠さなくたってー。AKBを隠れて応援してるより、
ずっといいと思うよー。さおりんの一生懸命バレーボールをやる姿、
引き込まれるもんねぇ 」
「 確かに引き込まれてるけど……、木村沙織を知ったのは、恥ずか
しながら、ついさっきだから 」
「 えぇっ? さおりんのこと知らなかったのぉ? 」
信じられないといった風に大きく目を見開いて、千冬は続けた。
「 じゃぁ、何でそんな真剣に見入っちゃってんの。昔、バレーボールやってたとか?
だとしたら初耳だけど 」
「 いや、バレーボールは、体育の時間にやったくらいだよ。トスで突き指するわ、レシーブで
腕は真っ赤になるわ、アタックでネットするわで、あんまりいい思い出ないし…… 」
「 ぷっ、散々な思い出だなぁ 」
「 そう。けど、夕美絵さんに進められて見始めたら、なんかこう、熱いものがあるよね、
バレーボールって。青春っていうか、スポ根というか、すっかりファンになっちゃったよ 」
半ば興奮気味に話すと、千冬がコーヒーカップをソーサーに静かに戻しながら言った。
「 エースの栗原恵って選手が、今控えに回ってるんだけどさ。去年の
11月に左ひざの半月板を断裂して、今年3月に手術したんだよ。
で、手術後、リハビリしながら復帰めざして、ようやく代表メンバーに
戻ってきたんだ。この試合でも出てくる場面があると思うけど 」
「 へぇ、そうなんだ 」
「 バレーボールってさ、ジャンプして、エビ反って、打ち込んで、着地して、
ってのを繰り返すからさ、腰とかひざとか痛めること、結構多いんだよ。
時には、届くかどうかのボールに飛び込んだりして。傍で見ているより、ハードなスポーツ
なんだよ 」
「 なるほど 」
「 そういえばだいぶ前、ひざ痛めたって言ってたけど、最近どうなのよ 」
千冬は、栗原恵選手の話から、僕のひざへ話を移したので、当時の事を振り返って話した。
「 ああ、ひざね。何度も水が溜っては、それを抜いてっていうのを繰り返していたら、ある日、
熱をもって普段の 1.5倍くらいに腫れちゃってさ、それが1週間くらい続いて、歩けなくなっ
ちゃって。正直焦ったけど、腫れが引いたら、ひざの違和感がなくなって、それ以来、水も
溜らなくなったんだよ。ちょっと説明がつかない不思議体験 」
「 ほぉ、そんな事があったんだ。テニスもひざを酷使するスポーツだもんな。予めサポーターとか
付けたほうかいいかもな 」
「 そう。だから、今でもハードな練習の時は、予防をかねて、これを使ってるんだ 」
そう言ってバッグから ザムスト の ひざサポーター ZK-7 を
取り出して千冬に見せ、少し説明を加えた。
「 サポートの度合いによって何種類か発売されてるんだけど、
それは一番しっかりサポートしてくれるハード。ちょっとばかり
ゴツイけど、安心感が高くて気に入ってるんだ。動きを妨げ
られる感じもないし、複数のストラップで締め具合を自在に
調節できるから 」
「 なるほど、なかなかしっかりした作りみたいだねぇ 」
ストラップの先のマジックテープをベリベリ剥がしたり付けたり
しながら僕の説明を聞いていた千冬が、うなずきながら言った。
確か、8千円以上したので、買う時は踏ん切りがいったのを覚えている。
ひざの痛みを再発させて、テニスができなくなる事を考えれば、絶対に必要な買い物だと
自分を納得させて買ったんだけど、重宝してる。
もう何度も洗ってるけど、生地の傷みも見られないし、長く使える良品だと思う。
テレビでは、バレーボールの試合が進んでいる。
千冬が ZK-7 を持つ手を止めて、画面に釘付けになったと思ったら、
ヒザの故障から手術後復帰したという栗原恵がコートに入っていた。
彼女も背が高い。
高いネットもそれほど高く感じさせない木村沙織と一緒にで映っていると、うーん、絵になる。
彼女たちが、もしもバレーボールではなく、この身長とリーチの長さでテニスを選んでいたら、
どうなっていたのだろう……、
なんて素朴な疑問が浮かんだところで、ゴーセンのエッグパワーを張ってくれていた夕美絵さん
から声がかかった。
( きまぐれで ) つづく
● 「 第1話 会社帰りに寄ります 」 は、こちらからお読みいただけます。
● 「 第2話 2010 世界バレー 」 は、こちらからお読みいただけます。
● 「第4話 エッグパワー17 の色合い 」 は、こちらこらお読みいただけます。
第 3 話 栗原恵と膝サポーター
“ ふらりんこ ” のカフェスペースに設置してある三菱の3D液晶テレビ LCD-55MDR1
で見る 『 2010 世界バレー 』 は ド迫力で、夕美絵さんが名前を挙げた木村沙織選手の
スラッとした背の高さ、江畑選手の面白いように決まるアタック、佐野選手の地面とボール
との間に手の平一枚を滑り込ませて打ち上げたミラクルなレシーブ、チーム皆の連帯感、
鮮やかなコンビネーションプレーなど、女子バレーに魅了されるのに、長い時間はかから
なかった。
なんだろう、彼女たちの、このひたむきさ。
しごかれても、しごかれても、監督やコーチを信じて声を出し、練習に
没頭する中高生の運動部の生徒達を思い起こさせるような、一点を
目指す まなざし。
率直にいいなぁ、と感じていると、右から声をかけられた。
「 よっ、何してんの 」
テレビ画面から視線を移すと、珈琲を持ちながら近づいてきた千冬だった。
千冬って、女性にも見かける名前だけど、コイツは男。
誰もが知る大手企業に勤めていることや、182cmの身長が、ちょっと羨ましかったりも
する大学からの友人だ。
別に待ち合わせをしていたわけじゃないんだけど、こんな風に不意に現れることが多いんだ、
千冬は。
「 どったの、女子バレーなんか見ちゃって。さては、さおりんの隠れファンだったとか? 」
「 いや、そういうわけじゃ…… 」
「 いいよ、いいよ、隠さなくたってー。AKBを隠れて応援してるより、
ずっといいと思うよー。さおりんの一生懸命バレーボールをやる姿、
引き込まれるもんねぇ 」
「 確かに引き込まれてるけど……、木村沙織を知ったのは、恥ずか
しながら、ついさっきだから 」
「 えぇっ? さおりんのこと知らなかったのぉ? 」
信じられないといった風に大きく目を見開いて、千冬は続けた。
「 じゃぁ、何でそんな真剣に見入っちゃってんの。昔、バレーボールやってたとか?
だとしたら初耳だけど 」
「 いや、バレーボールは、体育の時間にやったくらいだよ。トスで突き指するわ、レシーブで
腕は真っ赤になるわ、アタックでネットするわで、あんまりいい思い出ないし…… 」
「 ぷっ、散々な思い出だなぁ 」
「 そう。けど、夕美絵さんに進められて見始めたら、なんかこう、熱いものがあるよね、
バレーボールって。青春っていうか、スポ根というか、すっかりファンになっちゃったよ 」
半ば興奮気味に話すと、千冬がコーヒーカップをソーサーに静かに戻しながら言った。
「 エースの栗原恵って選手が、今控えに回ってるんだけどさ。去年の
11月に左ひざの半月板を断裂して、今年3月に手術したんだよ。
で、手術後、リハビリしながら復帰めざして、ようやく代表メンバーに
戻ってきたんだ。この試合でも出てくる場面があると思うけど 」
「 へぇ、そうなんだ 」
「 バレーボールってさ、ジャンプして、エビ反って、打ち込んで、着地して、
ってのを繰り返すからさ、腰とかひざとか痛めること、結構多いんだよ。
時には、届くかどうかのボールに飛び込んだりして。傍で見ているより、ハードなスポーツ
なんだよ 」
「 なるほど 」
「 そういえばだいぶ前、ひざ痛めたって言ってたけど、最近どうなのよ 」
千冬は、栗原恵選手の話から、僕のひざへ話を移したので、当時の事を振り返って話した。
「 ああ、ひざね。何度も水が溜っては、それを抜いてっていうのを繰り返していたら、ある日、
熱をもって普段の 1.5倍くらいに腫れちゃってさ、それが1週間くらい続いて、歩けなくなっ
ちゃって。正直焦ったけど、腫れが引いたら、ひざの違和感がなくなって、それ以来、水も
溜らなくなったんだよ。ちょっと説明がつかない不思議体験 」
「 ほぉ、そんな事があったんだ。テニスもひざを酷使するスポーツだもんな。予めサポーターとか
付けたほうかいいかもな 」
「 そう。だから、今でもハードな練習の時は、予防をかねて、これを使ってるんだ 」
そう言ってバッグから ザムスト の ひざサポーター ZK-7 を
取り出して千冬に見せ、少し説明を加えた。
「 サポートの度合いによって何種類か発売されてるんだけど、
それは一番しっかりサポートしてくれるハード。ちょっとばかり
ゴツイけど、安心感が高くて気に入ってるんだ。動きを妨げ
られる感じもないし、複数のストラップで締め具合を自在に
調節できるから 」
「 なるほど、なかなかしっかりした作りみたいだねぇ 」
ストラップの先のマジックテープをベリベリ剥がしたり付けたり
しながら僕の説明を聞いていた千冬が、うなずきながら言った。
確か、8千円以上したので、買う時は踏ん切りがいったのを覚えている。
ひざの痛みを再発させて、テニスができなくなる事を考えれば、絶対に必要な買い物だと
自分を納得させて買ったんだけど、重宝してる。
もう何度も洗ってるけど、生地の傷みも見られないし、長く使える良品だと思う。
テレビでは、バレーボールの試合が進んでいる。
千冬が ZK-7 を持つ手を止めて、画面に釘付けになったと思ったら、
ヒザの故障から手術後復帰したという栗原恵がコートに入っていた。
彼女も背が高い。
高いネットもそれほど高く感じさせない木村沙織と一緒にで映っていると、うーん、絵になる。
彼女たちが、もしもバレーボールではなく、この身長とリーチの長さでテニスを選んでいたら、
どうなっていたのだろう……、
なんて素朴な疑問が浮かんだところで、ゴーセンのエッグパワーを張ってくれていた夕美絵さん
から声がかかった。
( きまぐれで ) つづく
● 「 第1話 会社帰りに寄ります 」 は、こちらからお読みいただけます。
● 「 第2話 2010 世界バレー 」 は、こちらからお読みいただけます。
● 「第4話 エッグパワー17 の色合い 」 は、こちらこらお読みいただけます。
2010年11月08日
きまぐれテニス小説 『30-40』 ②
きまぐれ テニス小説 『30-40』
第 2 話 2010 世界バレー
カランコロン♪
ストリングショップ と カフェ が 一つになったテニスカフェ“ ふらりんこ ” の扉を開けると
いつもの鐘の音色が迎えてくれた。
古くは3階建てだったスーパーを全面改装して今風な外観に整備された1階が“ ふらりんこ ”。
2階と3階は、アパレルの事務所が入ってる。
なかなかに広いフロアは、4つのスペースに分かれていて、手前右側が カフェスペース。
ここには、55型の液晶テレビも設置してある。
大抵は、プロテニスの試合が流れていて、たまに違うスポーツも流れるけれど、その時は、
陸上くらいかな。
オーナーの考えで、野球 ・ サッカー ・ ゴルフは流さないんだって。この3つのスポーツは、毎日
のニュースの中でも見れるだろ、って。
全く同感。
大型テレビの後方、ベンジャミンで垣根を作ったその奥が、ストリングの張替えを行うスペース。
4台のマシーンがセットしてあって、常時、何台かは稼動している。
ストリンキングスペースの左側は、ストリングの販売カウンター。ここには、取り扱っているストリ
ングのファイルが用意してあって、カフェに持ち込んでゆっくり選ぶことができる。
実はこのファイル、ストリンガーさんが張る工程で気付いたことやアドバイスが載っていたり、
実際に張って使用してみたお客さんのコメント、いわゆる インプレ と呼ばれる感想や評価も合わ
せて読めるようになっていて、ひそかに人気があるファイルだ。
ストリングの販売カウンターの手前、つまりお店に入ってすぐ左側は、サイフォンが並ぶ、珈琲の
販売カウンター。
ポコポコという、サイフォンの音と、珈琲の香りがなんともリラックスのひとときを演出してくれて、
この雰囲気が気に入って、あしげく通う常連さんも多いらしい。
「 あ、いらっしゃいませ 」
入り口で、フロア内にひと回り目線を送っていると、学生アルバイトの奈保ちゃんが、珈琲カウン
ターから顔をのぞかせた。
黒髪のショートカットが似合う、よく気のきく明るい女の子だ。
「 あ、こんばんはー。奈保ちゃん、いたんだ 」
挨拶を返すと、彼女は、焙煎スイッチを押そうとする手を一旦止めて答えた。
「 はい、一週間で唯一、部活が休みの日ですから 」
「 そっかぁ、偉いなー。奈保ちゃん所のテニス部、練習厳しいのに。身体休めなくて大丈夫? 」
「 全然大丈夫です。ここに来てると楽しいですし、珈琲の香りで癒されますから 」
「 そう、それは良かった。あ、本日の珈琲を一つお願い。奥で張替え頼んで戻って来るから 」
「 かしこまりましたー 」
奈保ちゃんの笑顔に送られ、ストリングの販売カウンターに進むと、カウンター内には人の姿が
なく、ストリンキングスペースから声をかけられた。
「 おーい、こっちだよー 」
「 ああ、夕美絵さんこんばんは。作業中だったんですね 」
「 そうよー。今日はもう朝から私だけで7本目。この時期は、あちこちで大会も多いでしょう。その
せいじゃないかなー、大忙しよ 」
「 そんな状況なのに、エッグパワー入荷のご連絡をいただき、ありがとうございます 」
「 ほんとよねー。よし、7本目出来た、と。 はい、ラケット出して 」
夕美絵さんは、正式なストリンガーの有資格者で、プロの大会でもストリンキングを務めている
ほどの腕前。
そんな人に、テニスの一愛好家に過ぎない自分が張ってもらえるなんて、ありがたい。
「 あ、はい、お願いします 」
いつものことながら、ちょっと緊張しつつ、会社のロッカーから持ち帰ってきたラケットをソフト
バッグから取り出し、手渡した。
「 どうする? 1 時間くらいだけど、待ってる? それとも明日以降、取りに来る?」
「 待ってます。今、奈保ちゃんにコーヒーも頼んだし 」
「 オッケー。じゃ、カフェで世界バレーでも見てて。もう始まる頃だし。張り終わったら声かける
から 」
「 あ、今日は、バレーボール中継なんですか 」
めずらしいなと思って聞いてみると、
「 そう。私の趣味でね 『 2010 世界バレー 』。ムフ。ご覧の通り、見れないんだけど 」
手際良くストリングマシンにラケットをセットしながら、夕美絵さんは笑顔で答えた。
「 ああっ、なんか申し訳ないです。じゃ、代わりに見ときます、ははは 」
「 木村さおりん もイイんだけど、江畑って子のバックアタックいいから、あと佐野ちゃんのレシー
ブも、地味な様でファインプレーだから。注目して 」
「 はい、わかりましたー 」
木村に、江畑に、佐野? 選手の名前をポンポン出されて慌てたけど、何とか記憶し、
『 2010 世界バレー 』 が始まるという大型テレビのあるカフェスペースへ急いだ。
( きまぐれで ) つづく
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第 2 話 2010 世界バレー
カランコロン♪
ストリングショップ と カフェ が 一つになったテニスカフェ“ ふらりんこ ” の扉を開けると
いつもの鐘の音色が迎えてくれた。
古くは3階建てだったスーパーを全面改装して今風な外観に整備された1階が“ ふらりんこ ”。
2階と3階は、アパレルの事務所が入ってる。
なかなかに広いフロアは、4つのスペースに分かれていて、手前右側が カフェスペース。
ここには、55型の液晶テレビも設置してある。
大抵は、プロテニスの試合が流れていて、たまに違うスポーツも流れるけれど、その時は、
陸上くらいかな。
オーナーの考えで、野球 ・ サッカー ・ ゴルフは流さないんだって。この3つのスポーツは、毎日
のニュースの中でも見れるだろ、って。
全く同感。
大型テレビの後方、ベンジャミンで垣根を作ったその奥が、ストリングの張替えを行うスペース。
4台のマシーンがセットしてあって、常時、何台かは稼動している。
ストリンキングスペースの左側は、ストリングの販売カウンター。ここには、取り扱っているストリ
ングのファイルが用意してあって、カフェに持ち込んでゆっくり選ぶことができる。
実はこのファイル、ストリンガーさんが張る工程で気付いたことやアドバイスが載っていたり、
実際に張って使用してみたお客さんのコメント、いわゆる インプレ と呼ばれる感想や評価も合わ
せて読めるようになっていて、ひそかに人気があるファイルだ。
ストリングの販売カウンターの手前、つまりお店に入ってすぐ左側は、サイフォンが並ぶ、珈琲の
販売カウンター。
ポコポコという、サイフォンの音と、珈琲の香りがなんともリラックスのひとときを演出してくれて、
この雰囲気が気に入って、あしげく通う常連さんも多いらしい。
「 あ、いらっしゃいませ 」
入り口で、フロア内にひと回り目線を送っていると、学生アルバイトの奈保ちゃんが、珈琲カウン
ターから顔をのぞかせた。
黒髪のショートカットが似合う、よく気のきく明るい女の子だ。
「 あ、こんばんはー。奈保ちゃん、いたんだ 」
挨拶を返すと、彼女は、焙煎スイッチを押そうとする手を一旦止めて答えた。
「 はい、一週間で唯一、部活が休みの日ですから 」
「 そっかぁ、偉いなー。奈保ちゃん所のテニス部、練習厳しいのに。身体休めなくて大丈夫? 」
「 全然大丈夫です。ここに来てると楽しいですし、珈琲の香りで癒されますから 」
「 そう、それは良かった。あ、本日の珈琲を一つお願い。奥で張替え頼んで戻って来るから 」
「 かしこまりましたー 」
奈保ちゃんの笑顔に送られ、ストリングの販売カウンターに進むと、カウンター内には人の姿が
なく、ストリンキングスペースから声をかけられた。
「 おーい、こっちだよー 」
「 ああ、夕美絵さんこんばんは。作業中だったんですね 」
「 そうよー。今日はもう朝から私だけで7本目。この時期は、あちこちで大会も多いでしょう。その
せいじゃないかなー、大忙しよ 」
「 そんな状況なのに、エッグパワー入荷のご連絡をいただき、ありがとうございます 」
「 ほんとよねー。よし、7本目出来た、と。 はい、ラケット出して 」
夕美絵さんは、正式なストリンガーの有資格者で、プロの大会でもストリンキングを務めている
ほどの腕前。
そんな人に、テニスの一愛好家に過ぎない自分が張ってもらえるなんて、ありがたい。
「 あ、はい、お願いします 」
いつものことながら、ちょっと緊張しつつ、会社のロッカーから持ち帰ってきたラケットをソフト
バッグから取り出し、手渡した。
「 どうする? 1 時間くらいだけど、待ってる? それとも明日以降、取りに来る?」
「 待ってます。今、奈保ちゃんにコーヒーも頼んだし 」
「 オッケー。じゃ、カフェで世界バレーでも見てて。もう始まる頃だし。張り終わったら声かける
から 」
「 あ、今日は、バレーボール中継なんですか 」
めずらしいなと思って聞いてみると、
「 そう。私の趣味でね 『 2010 世界バレー 』。ムフ。ご覧の通り、見れないんだけど 」
手際良くストリングマシンにラケットをセットしながら、夕美絵さんは笑顔で答えた。
「 ああっ、なんか申し訳ないです。じゃ、代わりに見ときます、ははは 」
「 木村さおりん もイイんだけど、江畑って子のバックアタックいいから、あと佐野ちゃんのレシー
ブも、地味な様でファインプレーだから。注目して 」
「 はい、わかりましたー 」
木村に、江畑に、佐野? 選手の名前をポンポン出されて慌てたけど、何とか記憶し、
『 2010 世界バレー 』 が始まるという大型テレビのあるカフェスペースへ急いだ。
( きまぐれで ) つづく
● 「 第1話 会社帰りに寄ります 」 は、こちらからお読みいただけます。
● 「 第3話 栗原恵と膝サポーター 」 は、こちらからお読みいただけます。
2010年11月05日
きまぐれテニス小説 『30-40』 ①
きまぐれ テニス小説 『30-40』
第 1 話 会社帰りに寄ります
ストリングショップ と カフェ が 一つになったテニスカフェ“ ふらりんこ ” の夕美絵さんから
ケータイ電話に連絡が入ったのは、仕事の昼休み。
立ち食いそば屋の、外にせり出しているカウンターで、道行くサラリーマンに、何を食べてい
るのかと、ジロジロ見られながら、きつねうどんをハフハフほおばっている時だった。
「 はひ、もひもひ・・・ 」
「 ゴーセン の エッグパワー 入荷したわよ、張ってみる? 」
「 ぶほっ! 」
うそっ! と言ったつもりだったんだけど、熱いうどんがのたうっ
てる口では、無理があった。
えっ? なんだって? と電話の向こうで夕美絵さんが叫んでる
のを聞きながら、
「 お、おひかえひ、れんわひまふ 」
と言って、申し訳ないと思いながら、一方的にケータイを切った。
ここのうどんは、ツユが美味い。刻んだゆずをひとかけら浮かしてあるところも心憎い。
これは熱いうちに食べなくっちゃ、美味さ半減。
いつもは、きっちり 6分で食べ終わるところを、エッグパワーのことが気になり、4分半で
ツユまで飲みきった。
身体の内側から、ドッ! と汗が吹き出てくるのを感じながら、人通りのない細い路地に
進んで、“ ふらりんこ ” に折り返しの連絡 を入れた。
ワンコールでつながると、
「 はひ、ふはひんほへふ 」
と、お返しの第一声をお見舞いされた。
夕身絵さんは、こういう冗談をやる人なのだ。
「 はい、はい、先程は大変申し訳ございませんでした。熱いうどん食べ始めたばっかりの
タイミングだったんです、スミマセン 」
「 もー、しょーがないなー。許すわよ。で? 」
「 GOSEN の エッグパワー って 10月末の発売予定でしたよね。いつも2週間遅れの
入荷が当たり前なのに、めずらしく早いじゃないですかー! 」
「 うるっさいわね、ひと言多いってば。量販店に持ってかれちゃって、ウチみたいな小さな
お店には、初回出荷が回ってこないんだから仕方ないでしょー。せっかく親切に一報を
入れてあげてるのに憎たらしいんだから。さぁ、張るの、張らないの? 単張り 5個入っ
たけど、あと 2個しかないから、張るなら意思表示! 」
「 そりゃぁ、もちろん! あっ、そういえば、あれってゲージ 2種類でしたよね 」
「 ゴメン、17のほうしか入ってないんだー。17っていうのは、
1.22~1.24のほう。で、色はイエロー。ちなみに 16は、
1.30~1.32で オレンジ 」
「 17のほうが、16より細いんだ? なんか頭がこんがらがりそう。
でも、自分は、17のほうで。いつも使ってるプロハリツアーの
1.25に太さも色も近そうだし 」
「 オッケー。……んー、だけど、ただひとつ気になってるのよねー。
前回張ってから、まだ間もなかったわよね、確か 」
「 ひひひ、それなら大丈夫。おとといのナイター練習で切れましたから! 」
「 おっ、学生並みじゃない? 張って間もないポリを切っちゃうなんて 」
「 いや、それが完全なオフショットで。ナイターってボール見えないんですもん 」
「 見えないけどこの辺だろ、エイッ!て振ったら・・・ 」
「 ブチッ! と音がした 」
「 なるほど。じゃ、早く持っといで~ 」
「 あい。じゃ、今日、会社帰りに寄ります 」
ケータイを閉じると、何だかワクワクしてきた。
テニス雑誌の広告で気になっていたストリング、GOSENの エッグパワー を発売早々の
タイミングで張れるなんて。
エッグパワーは、ゴーセン独自の 「 特殊楕円形断面 」 構造を採用した共重合ポリエステル
モノフィラメント特殊加工のストリング。
なんだか難しそうだけど、要するに形状を楕円形にしたことで、ボールとの接触面積が広がり、
さらに特殊加工を施すことで、摩擦係数を高め、スピン性能がアップした、って話らしい。
加えて、反発性も高めたことで、打ち出しの速いスピードボールがストレートに近い軌道を
生み出し、スピンによってボールが沈む 「 エッグボール 」 を実現するというもの。
自分の打球が、今まで以上にスピンがかかり、しかも球速や弾道までも強さを増せば、練習
も試合も楽しみになろうってもんだ。
昼休みを終えて、仕事に戻ってからも、珍しく目をキラキラさせながらPCの前に座り、楽しくて
しょうがない、ってな顔でキーボードを叩いていた。
心そこにあらず。気持ちは、すでに “ ふらりんこ ” に向かっていた。
( きまぐれで? ) つづく
● 「 第2話 2010 世界バレー 」 は、こちらからお読みいただけます。
第 1 話 会社帰りに寄ります
ストリングショップ と カフェ が 一つになったテニスカフェ“ ふらりんこ ” の夕美絵さんから
ケータイ電話に連絡が入ったのは、仕事の昼休み。
立ち食いそば屋の、外にせり出しているカウンターで、道行くサラリーマンに、何を食べてい
るのかと、ジロジロ見られながら、きつねうどんをハフハフほおばっている時だった。
「 はひ、もひもひ・・・ 」
「 ゴーセン の エッグパワー 入荷したわよ、張ってみる? 」
「 ぶほっ! 」
うそっ! と言ったつもりだったんだけど、熱いうどんがのたうっ
てる口では、無理があった。
えっ? なんだって? と電話の向こうで夕美絵さんが叫んでる
のを聞きながら、
「 お、おひかえひ、れんわひまふ 」
と言って、申し訳ないと思いながら、一方的にケータイを切った。
ここのうどんは、ツユが美味い。刻んだゆずをひとかけら浮かしてあるところも心憎い。
これは熱いうちに食べなくっちゃ、美味さ半減。
いつもは、きっちり 6分で食べ終わるところを、エッグパワーのことが気になり、4分半で
ツユまで飲みきった。
身体の内側から、ドッ! と汗が吹き出てくるのを感じながら、人通りのない細い路地に
進んで、“ ふらりんこ ” に折り返しの連絡 を入れた。
ワンコールでつながると、
「 はひ、ふはひんほへふ 」
と、お返しの第一声をお見舞いされた。
夕身絵さんは、こういう冗談をやる人なのだ。
「 はい、はい、先程は大変申し訳ございませんでした。熱いうどん食べ始めたばっかりの
タイミングだったんです、スミマセン 」
「 もー、しょーがないなー。許すわよ。で? 」
「 GOSEN の エッグパワー って 10月末の発売予定でしたよね。いつも2週間遅れの
入荷が当たり前なのに、めずらしく早いじゃないですかー! 」
「 うるっさいわね、ひと言多いってば。量販店に持ってかれちゃって、ウチみたいな小さな
お店には、初回出荷が回ってこないんだから仕方ないでしょー。せっかく親切に一報を
入れてあげてるのに憎たらしいんだから。さぁ、張るの、張らないの? 単張り 5個入っ
たけど、あと 2個しかないから、張るなら意思表示! 」
「 そりゃぁ、もちろん! あっ、そういえば、あれってゲージ 2種類でしたよね 」
「 ゴメン、17のほうしか入ってないんだー。17っていうのは、
1.22~1.24のほう。で、色はイエロー。ちなみに 16は、
1.30~1.32で オレンジ 」
「 17のほうが、16より細いんだ? なんか頭がこんがらがりそう。
でも、自分は、17のほうで。いつも使ってるプロハリツアーの
1.25に太さも色も近そうだし 」
「 オッケー。……んー、だけど、ただひとつ気になってるのよねー。
前回張ってから、まだ間もなかったわよね、確か 」
「 ひひひ、それなら大丈夫。おとといのナイター練習で切れましたから! 」
「 おっ、学生並みじゃない? 張って間もないポリを切っちゃうなんて 」
「 いや、それが完全なオフショットで。ナイターってボール見えないんですもん 」
「 見えないけどこの辺だろ、エイッ!て振ったら・・・ 」
「 ブチッ! と音がした 」
「 なるほど。じゃ、早く持っといで~ 」
「 あい。じゃ、今日、会社帰りに寄ります 」
ケータイを閉じると、何だかワクワクしてきた。
テニス雑誌の広告で気になっていたストリング、GOSENの エッグパワー を発売早々の
タイミングで張れるなんて。
エッグパワーは、ゴーセン独自の 「 特殊楕円形断面 」 構造を採用した共重合ポリエステル
モノフィラメント特殊加工のストリング。
なんだか難しそうだけど、要するに形状を楕円形にしたことで、ボールとの接触面積が広がり、
さらに特殊加工を施すことで、摩擦係数を高め、スピン性能がアップした、って話らしい。
加えて、反発性も高めたことで、打ち出しの速いスピードボールがストレートに近い軌道を
生み出し、スピンによってボールが沈む 「 エッグボール 」 を実現するというもの。
自分の打球が、今まで以上にスピンがかかり、しかも球速や弾道までも強さを増せば、練習
も試合も楽しみになろうってもんだ。
昼休みを終えて、仕事に戻ってからも、珍しく目をキラキラさせながらPCの前に座り、楽しくて
しょうがない、ってな顔でキーボードを叩いていた。
心そこにあらず。気持ちは、すでに “ ふらりんこ ” に向かっていた。
( きまぐれで? ) つづく
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2010年11月02日
EZONE (Eゾーン) 試打 評価 インプレッション
ラケット 試打 感想 評価 インプレッション シリーズ ⑧
ヨネックス EZONE ( Eゾーン )インプレ ~100インチ~
YONEX EZONE 100inch
スペック
●フェイス : 100平方インチ ●重さ : 平均 300g、
●バランス : 平均320mm ●ストリング : 16×18本
●グリップサイズ : 1・2・3 ●フレーム厚 : 23~26.5㎜
イバノビッチ、森田あゆみ、マルチナ・ヒンギスらが使用を開始しているヨネックスの新作、
EZONE ( イーゾーン )。
わざと狙ったのか、黒いボディ。
エナメルブラックということですが、特にエナメルということでの特殊なボディカラー
という印象は、私は受けませんでした。
好みによって感じ方は違うと思いますが、個人的には、まぁなんとも地味なコスメ
だなぁ・・・、と。
同じブラックでも、漆をイメージさせる様な黒( 漆黒 ) だったら、独特の世界観が
出たかも。
もしくは、シルバーの部分が、ゴールドだったら良かったのに。
それともうひとつ気になることが・・・。
面が四角い。今までのラケットより、更に露骨に四角く見えます。
真正面からマジマジと見ると、もはや、従来の通常ラケットのフレーム形状から逸脱して
いるといっても過言ではないくらいに角ばっている印象を持ちます。
そんなわけで、カラーリング、形状ともに、個人的には絶対に “ ない ” ラケット。
◆ヨネックスが、またいいラケット作ったなー!! と
ところが、なのです。
そのくらいマイナス印象で、「 間違ってもこのラケットを使うことにはなるまい 」 と手にした
ハズなのに、使ってみたら、これはスゴイ。これはイイ。
何がスゴくてイイのかというと、
まず 「 安定感 」。続いて 「 コントロール性能 」、そして 「 球種の自在性 」。
これらは、EZONE 100 を使うことで得られる圧倒的なアドバンテージ。
◆クセのないスウィング感
ウエイト 300g に、バランス320g。数値からトップヘビー気味かと思っていたら、そうでは
ありませんでした。
スウィングしてみると、ちょうど、回転の中心に軸があるような感じで、トップヘビーでもトップ
ライトでもない、重くも軽くもない感じでラケットが回ります。
これまで、特別重いラケットや、特別トップヘビーに調整したラケットをお使いでなければ、
違和感なく振れるのではないでしょうか。
◆オフショットのフォローで、ラリーが続く、続く
さて、同等レベルの人とのラリー練習を始めてしばらくすると、ミスヒットしてネットを超えずに
落ちた球が、全て相手側のコートに転がっている状態になりました。
つまり、こちらはミスせず、相手がミスを重ねたのです。
こちらも難しい球や、苦しい球を打たれてはいるのですが、オフショットで返らず、という事が
なかったのです。
まじまじとラケットを見つめて思ったことは、スウィートスポットの拡大、もしくは、かつてない
フレーム剛性による、オフショットをオフショットにさせない面安定性。
この安定性は、イコール安心感につながる特筆性能。
よほど面の先っぽで、振り遅れて当たったような場合でなければ、ビ~ン! という嫌な振動は
ありません。
これ、実は、オーバーヘッド気味のボールをスマッシュする状況でも力を貸してくれます。
通常、変な角度に弾かれてしまいそうなところをなんとかコート内に押し込められるんです。
私にとっては、この部分が、イバノビッチが言うように It's a Magic! 心強いです。
こうしたオフショットのフォローは、芯でとらえるのが難しいショートバウンドや、ライジングで
とらえる際にも効力を発揮。
加えて、高い面安定性から、片手バックでの安心感もグッと高まります。
片手バックハンドの方は、是非一度試してみていただきたいところです。
◆ストリングの個性を感じさせてくれる打感
また、打感は、食いつき過ぎず、瞬間、しっかりボールをくわえてはいるんだけれど、
ほど良く弾き出す、そのバランスが、クセのない仕上がりになっています。
そして、EZONEには、RDiS 200 の時に感じた、カスッ というか、
ガスッ というか、フレームの中身の密度が不足しているような感じはありません。
特に気持ちよい打感でも、不快な打感でもなく、あまり意識しないで済む打感とでもいい
ましょうか、打った感覚があり過ぎるわけでもなさ過ぎるわけでもない。
程良い主張の打感は、本来ストリングが持っている打感をしっかり反映することができる、
言い換えれば、個々のストリングの個性や打球感を繊細に感じることができるので、
ストリング通にはたまらないラケットといえるかもしれません。
これは、高弾性カーボン + X-フラーレンを素材としたフレームに、テニス業界では初となる
振動吸収材 ネオフェードを採用したことよるのかもしれません。
( 素材の詳細は、YONEXのホームページなどをご覧ください )
◆裏打ちされたコントロール性能
長方形の面形状から、なんとなくフラットで引っぱたくの専用、みたいに感じてしまうのですが、
どっこい高く跳ね上げる高い弾道のスビンも、回転量を少し抑えたスピンも思いのまま。
相手のバック側に深く高い弾道で打ちたい、浅いアングルのあそこへ丁寧に打ち込みたい・・・、
球種だけでなく、ボールを落とし込む位置まで、ピンポイントに反映させることが可能。
それはすなわち、自分の気持ちがアバウトにならなくて済むということにもなります。
一か八か、だとか、あの辺りに落ちてくれ~的な、ともすると雑にもなりかねないテニスを抑制
してくれる効力さえ、EZONEは持っているように思えます。
オーバーでしょうか?
いいえ。フラット、スピン、スライスをボールの回転量の増減にいたるまで
掌握して打てる 「 球種の自在性 」 と、ピンポイントで狙えるコントロール性能。
ここまで自分の思いを反映してくれる、思い通りの打球を送り出してくれるラケットは、
ほかには、そう類を見ないように思います。
このところのストリングパターンの主流が、16×19、18×20の中にあって、あえて16×18
というところに、角ばった面形状と相俟って、緻密な計算と根拠に基づいたヨネックスの自信を
垣間見るような思いです。
◆オフェンスもディフェンスも自信が持てる一本
以前の記事で取り上げたピュアドライブのディフェンス性能ってスゴイものがあると思うんです。
攻められるほどに本領を発揮する、みたいな。
ただし、パワーのある方が使うと、あるいはスウィング軌道を誤ると、途端にオーバーし易い
不安があるのも事実だと思うのです。
したがって、オフェンスの場面では、かなり気を使います。
しかし、EZONEの場合は、オフェンスの場面で、「 気をつけないとヤバイ! 」 という、一瞬の
不安がよぎることは、ほとんど皆無。
したがって、スッと、流れを中断せずに攻撃球を打ち込んでいけます。
ピュアドライブとフレーム厚はほぼ同じ、けして薄ラケではないのに、飛び過ぎの不安を感じずに
ハードヒットも思いのままです。
また、ピュアドライブの、極言すれば当てるだけで返ってくれるまでのディフェンス力には及び
ませんが、バランスを崩しながらも、狙いの位置へ返球できる性能は、ピュアドライブにも劣ら
ない魅力として加えることができるでしょう。
しかし、そうしたことから逆に、ピュアドライブ同様、EZONEを使い慣れたあとで、シビアな
ラケットに戻すと、少なからず影響がありそうです。
そういう意味で、真にラケット操作の技術が向上するかといえば、少し疑問。
助けてくれる部分があるだけに、助けてくれないラケットを使用することで磨ける技術が身につき
づらい心配はあります。
ただ、それなりに技術は持っていて、試合で組み立てを考えながらプレーに反映できるレベルの
方なら、きっとラケットの恩恵を感じながらも、自分に足りない技術を分析して練磨できるでしょう
から、そんな心配は無用かもしれませんね。
そういう方にとっては、間違いなく、勝率を上げるのに力を貸してくれるラケットだと思われます。
ヨネックス EZONE ( Eゾーン )インプレ ~100インチ~
YONEX EZONE 100inch
スペック
●フェイス : 100平方インチ ●重さ : 平均 300g、
●バランス : 平均320mm ●ストリング : 16×18本
●グリップサイズ : 1・2・3 ●フレーム厚 : 23~26.5㎜
イバノビッチ、森田あゆみ、マルチナ・ヒンギスらが使用を開始しているヨネックスの新作、
EZONE ( イーゾーン )。
わざと狙ったのか、黒いボディ。
エナメルブラックということですが、特にエナメルということでの特殊なボディカラー
という印象は、私は受けませんでした。
好みによって感じ方は違うと思いますが、個人的には、まぁなんとも地味なコスメ
だなぁ・・・、と。
同じブラックでも、漆をイメージさせる様な黒( 漆黒 ) だったら、独特の世界観が
出たかも。
もしくは、シルバーの部分が、ゴールドだったら良かったのに。
それともうひとつ気になることが・・・。
面が四角い。今までのラケットより、更に露骨に四角く見えます。
真正面からマジマジと見ると、もはや、従来の通常ラケットのフレーム形状から逸脱して
いるといっても過言ではないくらいに角ばっている印象を持ちます。
そんなわけで、カラーリング、形状ともに、個人的には絶対に “ ない ” ラケット。
◆ヨネックスが、またいいラケット作ったなー!! と
ところが、なのです。
そのくらいマイナス印象で、「 間違ってもこのラケットを使うことにはなるまい 」 と手にした
ハズなのに、使ってみたら、これはスゴイ。これはイイ。
何がスゴくてイイのかというと、
まず 「 安定感 」。続いて 「 コントロール性能 」、そして 「 球種の自在性 」。
これらは、EZONE 100 を使うことで得られる圧倒的なアドバンテージ。
◆クセのないスウィング感
ウエイト 300g に、バランス320g。数値からトップヘビー気味かと思っていたら、そうでは
ありませんでした。
スウィングしてみると、ちょうど、回転の中心に軸があるような感じで、トップヘビーでもトップ
ライトでもない、重くも軽くもない感じでラケットが回ります。
これまで、特別重いラケットや、特別トップヘビーに調整したラケットをお使いでなければ、
違和感なく振れるのではないでしょうか。
◆オフショットのフォローで、ラリーが続く、続く
さて、同等レベルの人とのラリー練習を始めてしばらくすると、ミスヒットしてネットを超えずに
落ちた球が、全て相手側のコートに転がっている状態になりました。
つまり、こちらはミスせず、相手がミスを重ねたのです。
こちらも難しい球や、苦しい球を打たれてはいるのですが、オフショットで返らず、という事が
なかったのです。
まじまじとラケットを見つめて思ったことは、スウィートスポットの拡大、もしくは、かつてない
フレーム剛性による、オフショットをオフショットにさせない面安定性。
この安定性は、イコール安心感につながる特筆性能。
よほど面の先っぽで、振り遅れて当たったような場合でなければ、ビ~ン! という嫌な振動は
ありません。
これ、実は、オーバーヘッド気味のボールをスマッシュする状況でも力を貸してくれます。
通常、変な角度に弾かれてしまいそうなところをなんとかコート内に押し込められるんです。
私にとっては、この部分が、イバノビッチが言うように It's a Magic! 心強いです。
こうしたオフショットのフォローは、芯でとらえるのが難しいショートバウンドや、ライジングで
とらえる際にも効力を発揮。
加えて、高い面安定性から、片手バックでの安心感もグッと高まります。
片手バックハンドの方は、是非一度試してみていただきたいところです。
◆ストリングの個性を感じさせてくれる打感
また、打感は、食いつき過ぎず、瞬間、しっかりボールをくわえてはいるんだけれど、
ほど良く弾き出す、そのバランスが、クセのない仕上がりになっています。
そして、EZONEには、RDiS 200 の時に感じた、カスッ というか、
ガスッ というか、フレームの中身の密度が不足しているような感じはありません。
特に気持ちよい打感でも、不快な打感でもなく、あまり意識しないで済む打感とでもいい
ましょうか、打った感覚があり過ぎるわけでもなさ過ぎるわけでもない。
程良い主張の打感は、本来ストリングが持っている打感をしっかり反映することができる、
言い換えれば、個々のストリングの個性や打球感を繊細に感じることができるので、
ストリング通にはたまらないラケットといえるかもしれません。
これは、高弾性カーボン + X-フラーレンを素材としたフレームに、テニス業界では初となる
振動吸収材 ネオフェードを採用したことよるのかもしれません。
( 素材の詳細は、YONEXのホームページなどをご覧ください )
◆裏打ちされたコントロール性能
長方形の面形状から、なんとなくフラットで引っぱたくの専用、みたいに感じてしまうのですが、
どっこい高く跳ね上げる高い弾道のスビンも、回転量を少し抑えたスピンも思いのまま。
相手のバック側に深く高い弾道で打ちたい、浅いアングルのあそこへ丁寧に打ち込みたい・・・、
球種だけでなく、ボールを落とし込む位置まで、ピンポイントに反映させることが可能。
それはすなわち、自分の気持ちがアバウトにならなくて済むということにもなります。
一か八か、だとか、あの辺りに落ちてくれ~的な、ともすると雑にもなりかねないテニスを抑制
してくれる効力さえ、EZONEは持っているように思えます。
オーバーでしょうか?
いいえ。フラット、スピン、スライスをボールの回転量の増減にいたるまで
掌握して打てる 「 球種の自在性 」 と、ピンポイントで狙えるコントロール性能。
ここまで自分の思いを反映してくれる、思い通りの打球を送り出してくれるラケットは、
ほかには、そう類を見ないように思います。
このところのストリングパターンの主流が、16×19、18×20の中にあって、あえて16×18
というところに、角ばった面形状と相俟って、緻密な計算と根拠に基づいたヨネックスの自信を
垣間見るような思いです。
◆オフェンスもディフェンスも自信が持てる一本
以前の記事で取り上げたピュアドライブのディフェンス性能ってスゴイものがあると思うんです。
攻められるほどに本領を発揮する、みたいな。
ただし、パワーのある方が使うと、あるいはスウィング軌道を誤ると、途端にオーバーし易い
不安があるのも事実だと思うのです。
したがって、オフェンスの場面では、かなり気を使います。
しかし、EZONEの場合は、オフェンスの場面で、「 気をつけないとヤバイ! 」 という、一瞬の
不安がよぎることは、ほとんど皆無。
したがって、スッと、流れを中断せずに攻撃球を打ち込んでいけます。
ピュアドライブとフレーム厚はほぼ同じ、けして薄ラケではないのに、飛び過ぎの不安を感じずに
ハードヒットも思いのままです。
また、ピュアドライブの、極言すれば当てるだけで返ってくれるまでのディフェンス力には及び
ませんが、バランスを崩しながらも、狙いの位置へ返球できる性能は、ピュアドライブにも劣ら
ない魅力として加えることができるでしょう。
しかし、そうしたことから逆に、ピュアドライブ同様、EZONEを使い慣れたあとで、シビアな
ラケットに戻すと、少なからず影響がありそうです。
そういう意味で、真にラケット操作の技術が向上するかといえば、少し疑問。
助けてくれる部分があるだけに、助けてくれないラケットを使用することで磨ける技術が身につき
づらい心配はあります。
ただ、それなりに技術は持っていて、試合で組み立てを考えながらプレーに反映できるレベルの
方なら、きっとラケットの恩恵を感じながらも、自分に足りない技術を分析して練磨できるでしょう
から、そんな心配は無用かもしれませんね。
そういう方にとっては、間違いなく、勝率を上げるのに力を貸してくれるラケットだと思われます。