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楽・粋・癒 テニスウェア、アンダーウェア、ラケット試打、ストリング(ガット)のインプレ、感想など、ご参考になれば嬉しいです。そして、デビューアルバムを聴いて以来の元気と癒しの源、少女時代の魅力や情報もお届けします。

楽・粋・癒

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きまぐれテニス小説 『 30-40』 ④

きまぐれ テニス小説 『30-40』


               第 4 話  エッグパワー17 の色合い


「 張りあがったわよー 」GOSEN EGGPOWER 17

“ ふらりんこ ” のカフェスペースで、千冬と 『 世界バレー 』 を見て
いると、ストリンガーの夕美絵さんが、たった今、奥のストリンキング
スペースで張り上げたばかりのラケットを持って来てくれた。

きちんと張り上がったストリングは、ラケットを丸ごとリフレッシュした
かのように美しく見せてくれる。

「 うわぁ、これがゴーセンのエッグパワー17 ですかー。今すぐに打
 ちたい感じです。どうもありがとうございます 」BABOLAT プロハリケーンツアー

受け取りながらお礼を言うと、夕美絵さんは、ちょっと心配そうに聞い
てきた。

「 色は、どう? いつものプロハリケーンツアーとは、ちょっと違う
 イエローなんだけど 」

「 ほんとですね、プロハリケーンツアーが蛍光塗料っぽい黄色、もしくは
 レモンイエロー だとすると、エッグパワー17 は、山吹色にも近い様な、
 いわゆる黄色、しっかり色ののった濃い目の黄色って感じですね。でも、
 問題ないですよ」
                         ( 画像 右上から エッグパワー、プロハリケーンツアー )
「 そう? それなら良かった 」

すると、すぐ横で会話を聞いていた千冬が、興味津々に身を乗り出して来た。

「 なに、なに、なに、もしかして エッグパワーって、ゴーセンから出た、誰でもエッグボールが打
 てて、誰でも ナダルになれゃうっていうやつ? 」

「 千冬、お前、話が飛躍し過ぎだから。スピン性能と反発性を高めたことでエッグボールを実現
 するってキャッチであって、誰でもエッグボールが打てるなんて言ってないし、ましてナダルに
 なれちゃうなんて、パッケージのどこにも書いてないから! 」

「 あ、そーお? そーだっけ? まぁ、ともかくどんな打ち応えか、楽しみだろ。でも、見たところ、
 オレには、何の変哲もない、ただの黄色いポリエステルストリングに見えるけどなぁ 」

千冬の疑問に、夕美絵さんが答えた。

「 そうね。確かに断面が特殊な楕円になってはいるんだけど、張った外見は目立たないかもね。
 でも、よーく目を凝らして見ると、まっすぐな直線じゃなく、押しつぶされた様ないびつさが、部分
 部分で見て取れるでしょう。わかりづらいかなー 」

「 どれどれ? 」

ラケット面を一枚隔てて、僕と千冬は、まじまじとストリングを覗き込んだ。
よく確かめようとするほどに、二人の顔は互いにラケットに近づいていき……

「 バカ、近いよ! 」

二人で同時に叫んで、ラケットから顔を離した。結局、いびつさは、よくわからず終いだった。

僕らの様子を笑顔で見ていた夕美絵さんが言った。

「 それじゃぁ、良かったらそのエッグパワーの感想、お願いね、出来上がったらファイリングさせて
 もらうから 」

「 わかりました。早速、明日から使ってみて、どんなストリングか自分なりにつかめたところで書い
 てみます 」

そう言って、明日を楽しみにしながらラケットをしまい、夕美絵さんと千冬と一緒に 『 世界バレー 』
に目を移した。

カフェのアルバイトを終えたばかりの奈保ちゃんも、夕美絵さんの分の珈琲を運んで来て加わり、
他にお客さんがいなかったこともあって、時に声を出し、手を叩きながら試合終了まで観戦した。

結局、日本代表チームが勝利をあげたのを見届けて、僕らはそれぞれの帰路に着いた。


帰り道、外の空気は、昼間と比べてひんやりしていたけれど、日本チームの熱いプレーの余韻が
残っているせいか、むしろ心地良く感じた。

日本選手たちは、いきいきとプレーしていたし、コートの中の木村沙織選手は、特に輝いて見えた。

自分は、試合であんな風にいきいきとテニスをできているだろうか。

ふと、そんなことを思って夜空を見上げると、冷えた空気の中、星が幾つも煌いていた。

                     
                                             ( きまぐれで ) つづく


         ● 「 第1話 会社帰りに寄ります 」 は、こちらからお読みいただけます。 

         ● 「 第2話 2010 世界バレー 」 は、こちらからお読みいただけます。 

         ● 「 第3話 栗原恵と膝サポーター 」 は、こちらからお読みいただけます。


テニス小説 | 投稿者 そうだ全仏行こう 15:44 | コメント(0) | トラックバック(0)