2010年07月12日
ストリング感想 ⑧ バボラ RPMブラスト の評価
ストリング 感想 ⑧
ストリング ( ガット ) の 評価 ・ インプレッション の 8 回目です。
BABOLAT RPMブラスト
【 商品表記 】 オクタゴナル形状でスピンを強化し比類なき打球感を実現した
最新ポリエステルストリング。
【 素 材 】 高性能ポリエステル ( モノ )
【 形 状 】 オクタゴナル
【 構 造 】 高性能ポリエステル ( モノ ) + シリコンコーティング
【 ゲージ 】 1.25 、 1.30
【オリジナル判定 最高は★5つ】
試行条件 : ストリングパターン 16×19。テンション 58。面サイズ 100。 ゲージは 125。
飛距離・・・・・・・・・★★★☆( 3.5 )
打球スピード・・・・★★☆ ( 2.5 )
スピン性・・・・・・・・★★☆ ( 2.5 )
コントロール性・・・★★
ソフト感・・・・・・・・・★★★★☆ ( 4.5 )
ホールド感・・・・・・★★★
◆話題独占のバボラブラック
あのナダルのストリングが、目立つ黄色から黒色に変わった。
その時点から囁かれ始めた 「 あのストリングは何だ? 」 。
そして、そのストリングでナダルは、全仏を見事に優勝。
否が応でも高まる注目。
やがてそれは、ナダルがバボラと共同開発した最新のストリングだと知らされ、
発売前から前評判は最高潮に。
そして、ついに発売。
私がストリング張りをお願いしているお店でも、入荷と同時に類を見ない勢いで注文が
入り、ポリとしては高めの価格ながら、2日目にして在庫切れの心配をする程の好調な
スタートを切ったようです。
「 パワーとスピンを強化し、比類なき打球感を実現 」 と謳われては、期待は膨らむばかり。
張り上がってみると、↓ こんな感じです。
画像で伝わるか微妙ですが、真っ黒な ピュアブラック とは違う、
限りなく黒色に近い灰色と言ったらよいでしょうか。
そして、「 なんかツルツルして光沢があるなぁ、ボールがすべっちゃいそう 」 な感じです。
◆振動止めがいらない程のソフトフィーリング
打ち始めの1球目から、柔らかさを感じます。普段、振動止めを欠かさない方でも、
ソフトになり過ぎる心配から、外したい衝動にかられるかもしれません。
ただし、このソフトなフィーリングというのは、
例えばエクセルパワーの様に、ピンポイントでストリングがたわむフィーリングではなく、
面全体のストリングが たわむ感覚。
この点、ピンポイントのたわみ、ボールホールドに慣れている私には、非常にコントロールが
付けずらく感じました。
そして、弾き返すまでの時間は、エクセルパワーより、わずかながら長くかかります。
ただこれは、弾き系が好みの方でも対処可能な範囲に収まるのではないかと思います。
また、面全体がソフトフィーリングなので、スウィートスポットの範囲は、
例えば、同じラケットに同じテンションでプロハリケーンツアーを張った場合と比べて、
広く感じられます。
◆過度の期待は禁物! プロ仕様のスピン性能
かつてない驚愕のスピンが手に入る! と勝手に期待していた私。
でも、打ち出してみると、どうもスピンのかかりが良くありません。
良くないというより、かなり悪い。
まず、フラットストロークで球の落ちが鈍い。
ベースライン際でストンと落ちるのがウリのストロークが、落ちないんです。
だらしなく伸びて、アウト。キレが感じられない打球。
何だ、これ・・・?
「 間違えて別のストリング張ったんじゃ・・・ ? 最近黒系ストリング増えてきたし 」 と、
ストリングに商品名の文字を探してしまった程、期待とは大違いの感触だったのです。
こすり上げるスピンでも同じ。
バウンド後の跳ね上がりが弱く、スピン系ではないストリングよりも弾まないくらい。
どういことだ・・・?
疑問と失望感が湧き上がってくる中、
それまでよりもボールを潰す様な MAX のハードヒットを意識して打ってみたところ、
ボールが伸びを見せ、ベースラインぎりぎりで ギュイン! と落ち始めました。
そういうことか!
このストリングは、かなりのハードヒット、それこしボールが破裂するんじゃないか?
くらいの打ち方をしてこそ、能力を発揮するストリングらしいのです。
ナダル、ソンガ ( ツォンガ )、ストーサーらが使用するのも、うなずけます。
彼らほどのパワーヒットなら、このストリングの特色を最大限に引き出せるのでしょう。
しかも、ソフトフィーリングなので、過酷なツアーを戦い続ける彼らのヒジに優しい。
しかしこれ、一般プレーヤーが使ってどうなんでしょう?
引き出せないんじゃないでしょうか・・・。
少々のハードヒッター程度では、期待するような球を繰り出せる数は、わずかではないかと。
一般プレーヤーながら、自他共に認める怪物級のパワーを持ち、「 ボールクラッシャー 」 の
異名を持つ様な人なら、味方になってくれるストリングかもしれませんが、
実は使いこなすのが易しそうで難しい、プロ仕様のストリングの印象を持ちました。
下手をすると、ストリングの能力を引き出すために無理をする → 筋肉や ヒジ を痛める・・・
なんて本末転倒なことにもなりかねません。
◆それでも使いたい場合は・・・
そこまでのパワーはないけれど、でもどうしても使いたいんだ! という場合には、
53以下のテンションをお勧めします。
ツルツルした光沢、これはシリコンコーティングによるもの。
これにより、「 ストリングのスライド性を向上し、インパクト時に効果的にストリングがスライドし、
ボールに強い回転を与える 」 と謳っています。
この効果、ボールの接触時間が長いほど有効。
テンションを落として、ストリングがボールにまとわりついている時間を長くしたいところ。
また、面にボールがしっかりと乗っているのを感じながら打つこともポイントになるでしょう。
この点、パンッと弾き飛ばすのが好みの方には、じれったさを抑えるのに苦労するところと
いえそうです。
こすり上げるスピンも、むしろスイングスピードが遅いほうが有効。
スイングスピードが速く、テンションが高め ( 57以上 ) だと、
ストリングがうまい具合にスライドしてくれず、本来、ストリングをスライドさせるための加工
であるツルツルのシリコンコーティングが、捉えたボールをつかまずに、ツルンッと滑らせて
しまう様なのです。
つまり、スイングスピードが速いだけでは、かえってマイナス。
速いスイングスピードで行くなら、自らボールをラケットに食い込ませる程の強烈なパワーも
兼備していないと、持ち味を発揮出来ないと思われます。
手を焼くのは、ストロークのみならず、サービスも。
ボールの回転量を上げようと、ボールをこするスイングスピード上げると、かえって回転が
かかりません。
曲がらない、跳ねない、もしくはサービスライン内に落ちてくれない・・・。
技術の未熟さは認めましょう、しかしながら同じラケット、同じテンションで
プロハリケーンツアー や デビルスピン、スタミナスピン を張ったなら、
こうはならないのも事実です。
しかし、この点も、テンション 53以下ならば、違った回転量、違った軌道を見せてくれるかも
しれません。
尚、ストローク時のスライスは、ストリングとボールの接触時間が長いためでしょう、
58のテンションでも、よく止まる、戻る、左にクイッと切れる、伸びる・・・
想像以上の変化を見せてくれました。
この部分は、とても捨てがたい所です。
スライスを主体に組み立てる方は、上手い使い方があるかもしれません。
最後にひとつだけ・・・、
オクタゴナル形状 や 高性能ポリ( モノ ) など、構造が同じことから、
プロハリケーンツアーを黒色にしてスピン性能などをさらに強化した
グレードアップ版だろうかとイメージされている方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、そうではなく、似ても似つかない全く別のストリングと考えるべきだと、私は思います。
※ このインプレッションには、引き続き使用しての“続編”があります。
RPMブラストの評価・感想 ~続編~は、こちらからご覧いただけます。
ストリング ( ガット ) の 評価 ・ インプレッション の 8 回目です。
BABOLAT RPMブラスト
【 商品表記 】 オクタゴナル形状でスピンを強化し比類なき打球感を実現した
最新ポリエステルストリング。
【 素 材 】 高性能ポリエステル ( モノ )
【 形 状 】 オクタゴナル
【 構 造 】 高性能ポリエステル ( モノ ) + シリコンコーティング
【 ゲージ 】 1.25 、 1.30
【オリジナル判定 最高は★5つ】
試行条件 : ストリングパターン 16×19。テンション 58。面サイズ 100。 ゲージは 125。
飛距離・・・・・・・・・★★★☆( 3.5 )
打球スピード・・・・★★☆ ( 2.5 )
スピン性・・・・・・・・★★☆ ( 2.5 )
コントロール性・・・★★
ソフト感・・・・・・・・・★★★★☆ ( 4.5 )
ホールド感・・・・・・★★★
◆話題独占のバボラブラック
あのナダルのストリングが、目立つ黄色から黒色に変わった。
その時点から囁かれ始めた 「 あのストリングは何だ? 」 。
そして、そのストリングでナダルは、全仏を見事に優勝。
否が応でも高まる注目。
やがてそれは、ナダルがバボラと共同開発した最新のストリングだと知らされ、
発売前から前評判は最高潮に。
そして、ついに発売。
私がストリング張りをお願いしているお店でも、入荷と同時に類を見ない勢いで注文が
入り、ポリとしては高めの価格ながら、2日目にして在庫切れの心配をする程の好調な
スタートを切ったようです。
「 パワーとスピンを強化し、比類なき打球感を実現 」 と謳われては、期待は膨らむばかり。
張り上がってみると、↓ こんな感じです。
画像で伝わるか微妙ですが、真っ黒な ピュアブラック とは違う、
限りなく黒色に近い灰色と言ったらよいでしょうか。
そして、「 なんかツルツルして光沢があるなぁ、ボールがすべっちゃいそう 」 な感じです。
◆振動止めがいらない程のソフトフィーリング
打ち始めの1球目から、柔らかさを感じます。普段、振動止めを欠かさない方でも、
ソフトになり過ぎる心配から、外したい衝動にかられるかもしれません。
ただし、このソフトなフィーリングというのは、
例えばエクセルパワーの様に、ピンポイントでストリングがたわむフィーリングではなく、
面全体のストリングが たわむ感覚。
この点、ピンポイントのたわみ、ボールホールドに慣れている私には、非常にコントロールが
付けずらく感じました。
そして、弾き返すまでの時間は、エクセルパワーより、わずかながら長くかかります。
ただこれは、弾き系が好みの方でも対処可能な範囲に収まるのではないかと思います。
また、面全体がソフトフィーリングなので、スウィートスポットの範囲は、
例えば、同じラケットに同じテンションでプロハリケーンツアーを張った場合と比べて、
広く感じられます。
◆過度の期待は禁物! プロ仕様のスピン性能
かつてない驚愕のスピンが手に入る! と勝手に期待していた私。
でも、打ち出してみると、どうもスピンのかかりが良くありません。
良くないというより、かなり悪い。
まず、フラットストロークで球の落ちが鈍い。
ベースライン際でストンと落ちるのがウリのストロークが、落ちないんです。
だらしなく伸びて、アウト。キレが感じられない打球。
何だ、これ・・・?
「 間違えて別のストリング張ったんじゃ・・・ ? 最近黒系ストリング増えてきたし 」 と、
ストリングに商品名の文字を探してしまった程、期待とは大違いの感触だったのです。
こすり上げるスピンでも同じ。
バウンド後の跳ね上がりが弱く、スピン系ではないストリングよりも弾まないくらい。
どういことだ・・・?
疑問と失望感が湧き上がってくる中、
それまでよりもボールを潰す様な MAX のハードヒットを意識して打ってみたところ、
ボールが伸びを見せ、ベースラインぎりぎりで ギュイン! と落ち始めました。
そういうことか!
このストリングは、かなりのハードヒット、それこしボールが破裂するんじゃないか?
くらいの打ち方をしてこそ、能力を発揮するストリングらしいのです。
ナダル、ソンガ ( ツォンガ )、ストーサーらが使用するのも、うなずけます。
彼らほどのパワーヒットなら、このストリングの特色を最大限に引き出せるのでしょう。
しかも、ソフトフィーリングなので、過酷なツアーを戦い続ける彼らのヒジに優しい。
しかしこれ、一般プレーヤーが使ってどうなんでしょう?
引き出せないんじゃないでしょうか・・・。
少々のハードヒッター程度では、期待するような球を繰り出せる数は、わずかではないかと。
一般プレーヤーながら、自他共に認める怪物級のパワーを持ち、「 ボールクラッシャー 」 の
異名を持つ様な人なら、味方になってくれるストリングかもしれませんが、
実は使いこなすのが易しそうで難しい、プロ仕様のストリングの印象を持ちました。
下手をすると、ストリングの能力を引き出すために無理をする → 筋肉や ヒジ を痛める・・・
なんて本末転倒なことにもなりかねません。
◆それでも使いたい場合は・・・
そこまでのパワーはないけれど、でもどうしても使いたいんだ! という場合には、
53以下のテンションをお勧めします。
ツルツルした光沢、これはシリコンコーティングによるもの。
これにより、「 ストリングのスライド性を向上し、インパクト時に効果的にストリングがスライドし、
ボールに強い回転を与える 」 と謳っています。
この効果、ボールの接触時間が長いほど有効。
テンションを落として、ストリングがボールにまとわりついている時間を長くしたいところ。
また、面にボールがしっかりと乗っているのを感じながら打つこともポイントになるでしょう。
この点、パンッと弾き飛ばすのが好みの方には、じれったさを抑えるのに苦労するところと
いえそうです。
こすり上げるスピンも、むしろスイングスピードが遅いほうが有効。
スイングスピードが速く、テンションが高め ( 57以上 ) だと、
ストリングがうまい具合にスライドしてくれず、本来、ストリングをスライドさせるための加工
であるツルツルのシリコンコーティングが、捉えたボールをつかまずに、ツルンッと滑らせて
しまう様なのです。
つまり、スイングスピードが速いだけでは、かえってマイナス。
速いスイングスピードで行くなら、自らボールをラケットに食い込ませる程の強烈なパワーも
兼備していないと、持ち味を発揮出来ないと思われます。
手を焼くのは、ストロークのみならず、サービスも。
ボールの回転量を上げようと、ボールをこするスイングスピード上げると、かえって回転が
かかりません。
曲がらない、跳ねない、もしくはサービスライン内に落ちてくれない・・・。
技術の未熟さは認めましょう、しかしながら同じラケット、同じテンションで
プロハリケーンツアー や デビルスピン、スタミナスピン を張ったなら、
こうはならないのも事実です。
しかし、この点も、テンション 53以下ならば、違った回転量、違った軌道を見せてくれるかも
しれません。
尚、ストローク時のスライスは、ストリングとボールの接触時間が長いためでしょう、
58のテンションでも、よく止まる、戻る、左にクイッと切れる、伸びる・・・
想像以上の変化を見せてくれました。
この部分は、とても捨てがたい所です。
スライスを主体に組み立てる方は、上手い使い方があるかもしれません。
最後にひとつだけ・・・、
オクタゴナル形状 や 高性能ポリ( モノ ) など、構造が同じことから、
プロハリケーンツアーを黒色にしてスピン性能などをさらに強化した
グレードアップ版だろうかとイメージされている方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、そうではなく、似ても似つかない全く別のストリングと考えるべきだと、私は思います。
※ このインプレッションには、引き続き使用しての“続編”があります。
RPMブラストの評価・感想 ~続編~は、こちらからご覧いただけます。